DHA・EPAを多く含む食品と効率的な摂取方法
魚をよく食べているのでDHA・EPAは充分摂れている。そう思っている方も、魚の調理法や食べている部位によっては、あまり摂取出来ていない場合もあります。
効率的にDHA・EPAを摂取するためには、どのような魚を、どんな調理方法で食べれば良いのか、詳しく見ていきましょう。
目次
DHAを多く含む食品
脳細胞や神経細胞の維持に欠かせないDHAを多く含む食品は、魚です。
DHAを多く含む魚(可食部100g中の含有量)
ブリ | 1700mg |
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サンマ | 1600mg |
マサバ | 970mg |
カツオ | 970mg |
マイワシ | 870mg |
アジ | 570mg |
刺身1人前が80~100gくらいなので可食部100gはだいたい1回の食事で食べる1人前の量と言えます。
DHAの1日当たりの摂取目安量は成人男性で約2.0g。成人女性で1.6gです。上記の魚であれば、1回の食事で目安量のおよそ半分以上を摂ることができます。
EPAを多く含む食品
血管や心臓の病気のリスクを下げたり、コレステロール値を正常に保ってくれるEPAも魚に多く含まれています。
EPAを多く含む魚(可食部100gあたりの含有量)
マイワシ | 1381mg |
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サバ | 1214mg |
マダイ | 1085mg |
ブリ | 899mg |
サンマ | 844mg |
こちらも1人前の量で、1日のEPA摂取目安量の約半分以上を摂ることができます。
DHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸は、α-リノレン酸・EPA・DPA・DHAなどを合わせて1日分の目安量を摂るとよいと言われています。
1食分の魚で目安量の半分以上を摂れるので、残りはα-リノレン酸を含む植物油などから補うと、無理なく1日分の目安量を摂取できるでしょう。
数値参考:サラサラ生活向上委員会(ニッスイ)
効率的な摂取方法と調理方法
DHA・EPAを効率良く摂取するために、魚のどの部位に多く含まれているのか。適切な調理方法や、缶詰の利用について見ていきましょう。
DHA・EPAが豊富に含まれる魚の部位
DHAやEPAは魚に多く含まれていますが、魚の部位によってはほとんど含まれていないことがあります。
DHAやEPAは脂肪酸といわれる栄養素で、いわゆる脂です。魚を食べるとき「脂ののった魚」という表現をしますが、DHAやEPAはその脂や神経組織部分に多く含まれています。
- マグロ
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赤身にはほとんど含まれず、トロの部分や目の周りのドロっとした組織に豊富に含まれています。
- カツオ
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同じカツオでも「初鰹」と「戻り鰹」では「戻り鰹」の方がしっかり脂がのっていてDHAやEPAが豊富に含まれています。
他にも、頭・骨・皮部分といった、ついつい捨ててしまうところにもDHAやEPAが含まれています。
魚によっては身の部分には全体の3割程度、残り7割は捨ててしまう部分にDHAやEPAが含まれています。頭・皮・骨・内臓を含め、丸ごと食べるのが理想です。
加熱調理による影響
魚の食べ方は刺身、焼き魚、煮魚、揚げ物など、調理方法は様々あります。DHA・EPAは脂肪酸という脂なので、熱を加えると溶け出していまいます。
加熱する場合は、DHA・EPAの流出を防ぐために工夫が必要です。
- 生・刺身
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火を通さない生食が、DHA・EPAを最も効率的に補う食べ方です。
- 揚げ物
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油で揚げると、DHA・EPAがおよそ50%減少するとされています。
揚げ物にする場合は、衣を付けることでDHAやEPAの流出を多少防ぐことができます。また、揚げ油にα-リノレン酸を多く含む植物油を利用すると、衣にα-リノレン酸が加わり効率的にオメガ3脂肪酸を補えます。
- 焼き魚
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魚を焼くことで、DHA・EPAがおよそ20%減少するとされています。
焼き魚にするなら、皮やその周りにDHA・EPAが多く含まれているため、剥がさずに食べるとムダになりません。
- 煮魚
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煮る場合は、圧力鍋などを活用すれば骨まで柔らかく煮ることが出来るので、魚を丸ごと食べられます。魚の骨や皮、煮汁も一緒に食べるようにすれば、より多くのDHAやEPAを摂ることが出来ます。
加熱調理する時は、溶け出てしまうDHAやEPAを無駄にしない食べ方を考えてみましょう。
魚の缶詰なら手軽にDHA・EPAを摂れる
DHAやEPAは身だけでなく、頭・骨・皮・内臓など魚の全身に含まれています。出来るだけ丸ごと食べたいのですが、家庭ではなかなか現実的ではありません。
そこで便利なのが魚の缶詰です。缶詰は水煮や味噌煮などがあり、缶を開けたらすぐ食べられるのが魅力です。しかも、骨や皮はもちろん、缶に入っている煮汁も摂取でき、効率良くDHAやEPAを摂ることができます。
魚の缶詰のDHA含有量/可食部100gあたり
サバ水煮缶詰 | 1300mg |
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いわし水煮缶詰 | 1200mg |
いわし蒲焼き缶詰 | 1400mg |
さんま蒲焼き缶詰 | 1200mg |
缶詰は保存期間が長く保存食になりますし、調理をすることなくそのまま食卓や弁当に入れることができます。
妊娠中や授乳中など調理をするのが大変な時でも、缶詰を使えば手軽に効率良くDHA・EPAを摂れるので、積極的に活用していきましょう。
DHA・EPAの安定した摂取にはサプリが便利
DHA・EPAは身体の中で作り出すことが出来ず、不足させないためには、魚を食べて補う必要があります。
しかし、それが分かってはいても、なかなか十分な量を補えないのが、DHA・EPAの難しいところです。
- 魚が嫌いな人はDHA・EPAが不足する
- いくら魚が好きでも、毎日魚を食べるのは難しいうえ飽きる
- 食費が高くつく
- 魚を多く食べるのはリスクがある場合も(特に妊娠中や授乳中)
いくらDHA・EPAが健康にとって大切だからといって、魚が苦手な人もいますし、優良なタンパク源である肉を食べる必要もあります。
また、魚も種類によっては水銀やカドミウム、ダイオキシンなどが蓄積していることがあり、環境汚染物質などを過剰摂取しないよう注意しなければなりません。
こうしたことを考えると、サプリの方が簡単・便利なうえ、安心してDHAやEPAを摂ることができます。
まとめ
DHA・EPAを多く含む魚を、お刺身で1人前食べることで、オメガ3脂肪酸の1日当たりの摂取目安量のおよそ半分を補うことが出来ます。
ただし、魚を加熱すると調理の過程でDHA・EPAは減少します。揚げた場合は約50%、焼き魚で約20%程度減少するといわれています。
実際には、食事だけで十分なDHA・EPAを摂るのは難しいので、足りない分はサプリ等の栄養補助食品を利用して補うのが現実的です。